ちょこ。ころんの介護備忘録

介護士の出来事を記録しています。

介護談話~介護人材流出防止の為の月6,000円の賃上げ~

 こんばんは。昨今介護人材流出を防止するために厚生労働省は月¥6,000の賃上げを行うとしています。ここで今回の賃上げについての私の感想を淡々と述べていきたいと思います。

 

1.月¥6,000ってどうなの?

 

 ここで一つ疑問に感じることが、月¥6,000というのは私としてどの位影響があるか、つまりその金額で今の仕事を続けるかという観点でいうと、

 

何にも思わない。

 

 というのが感想です。むしろ増えていても気づかない、または実感が得られないレベルなのではないでしょうか?

 

 介護業界自体、毎年ベースアップと呼ばれる基本給の底上げが行われている会社や施設は私の知る限りなく、ただでさえずっと上がっていない状況でたった月額¥6,000っていうのがショボ過ぎるというのが感想です。

 

 私は元々製造業界で働いていた経緯があります。私が勤めていた会社では、毎年最低でも月額¥15,000ずつ上昇していました。単純計算で10年で月額15万円です。そこに成績に応じてさらに上乗せされるため、実際はもっと増額していきます。また、基本給が上がるという事は、残業代やボーナスもそれに応じて上がっていきます。

 

 ですが、介護業界は基本給は上げず手当てを支給する事が多いように感じます。これはどういうことかというと、残業代やボーナスというのは基本給を元に計算されるため、この計算に手当は含まれません。そのため、毎月の給料は少し上がっている程度なので、給料が上がったという実感は得られにくいのではないでしょうか?

 

2.人材が流出している原因はお金だけ?

 そもそも介護業界から人材が流出している原因というのは、本当にお金だけなのでしょうか?

 

 私自身の感想としては、お金は二の次で実際はもっと違う部分にあると考えています。

 

 どうしてそう思うかと言いますと、お金の部分、つまり給料については入職する前の段階である程度は分かるからです。私の場合は面接の時点で、給料の額面についてきちんと確認した上で会社や施設を選択しているため、お金の部分での不満はそこまで大きくありません。

 

 では、なぜ人が次々と辞めていくのか実際に辞めた方(私も含めて)に実際聞いた事を並べてみます。

  • 賃金と仕事量が見合ってない
  • 休憩が取れない
  • 職員の中でヒエラルキーがある(ハラスメント含む)
  • えげつないシフトを入れられる(月に夜勤12回、日勤3回や夜勤明けの日に日勤など)
  • 職員の中で仕事をする人としない人(さぼる人)がいて、贔屓がえぐい
  • 偉そうな古株職員(上司ではない)がこき使う
  • 仕事は増えるが、賃金は増えず
  • 「報」「連」「相」がないのに責任だけとらされる
  • 教育されてないのにいきなり現場投入され不安だった
  • 人より覚えが悪いと文句を言われる
  • 自分で考えろという割に文句を言われる
  • まるで後出しじゃんけんのように終わった事にグチグチ言われる
  • あきらかに施設では見れない状態(怪我や病気)なのに、職員に何も言わず丸投げする

 私の覚えている範囲で今まで様々な方が辞める間際に言っていた事や私自身辞めようと思った時に考えていたことを書いてみました。

 

 こうしてみるとほとんどが職場のコミュニケーションや現場の仕組みの問題が多いですね。

 

 中には賃金と仕事量について言っている方がいましたが、これについては最低賃金の方が知識や経験もないのに、大けがや病気での末期状態の方をケアする事に違和感を覚えていたようです。

 

 こんな状態では、いくら賃金をたった月額¥6,000挙げた所で残ってくれるでしょうか?というお話です。

 

 残念ながらもし私が辞めようとしている職場で、この金額程度では残るような事はないでしょう。(...今まで引き留められたことはないですが(-_-;))

 

3.今後の展望は?

 

 まず問題となっているのは、人材が流出していて人手が足りないという事です。ここの目的を見誤ってはいけないと感じています。

 

 ただお金を上げればやってくれるだろうと行政は思っているようですが、人材が流出している原因をもう一度調査するべきと感じています。

 

 お金で解決するというのは、安直です。ですが安直なだけに効果もいまいちです。本当に解決したいのであれば、もっと大胆な策を打っていかないといけないと思います。

 

 これはあくまで素人の考えですが、もしお金をしっかり出していきたいのであれば介護士を公務員化するという事もできると思います。民間企業と行政でやり取りをすると、介護に携わる方全員に行きわたらないというような問題が起きたり、それに関わる業務に多大な費用が掛かるなんてこともあると思います。そこを国で一括で管理するというのも妙案としてあってもいいのかなと思いました。

 

 それともう一つは、サービスの質を下げるという事も考えなくてはならないかもしれません。残念ながら現在の介護サービスの質は介護士自身の知識や経験、または人柄を担保にされているところが大きいです。

 

 以前に利用者の方から聞いた話ですが、「ここ安い割にサービスいいのよね。みんな気を利かせてくれるし。」と仰っておられました。これはサービスを行うものとしては一見嬉しくも思えますが、よくよく考えると過剰サービスなのでは?とも感じ取れます。

 

 私が見る限り、現場の方たちはそれぞれ得手不得手はありますが、みなさん一生懸命です。この一生懸命さを評価し賃金の上昇に繋がらないのであれば、サービスの質を下げてみるという試みも考えれるのかもしれません。

 

 上記の案はあえて極端な案を上げてみました。ですが、たった月額¥6,000の増額よりも一石を投じるという意味で色々な方面で変化が出てくるのではないでしょうか。

 

 

夜勤介護のマンガ日誌 第29夜~息が止まらない~

ある夜勤の日。ちょうど0時を過ぎた頃。今日は眠れないご様子のおばあさまが事務所にやってきました。

 

悲痛なご様子でおられるため、どうされたのか聞いてみると...

 

息がとまらない

 

お話を聞いてみると、どうやら少し息苦しいようです。

 

恐らく慌てていた為、言い間違えたのでしょう。

 

息はきちんとしていきましょうね。

夜勤介護のマンガ日誌 第28夜~辛辣コメント~

いつも仲が良いお二人が食事後にテレビを見ながら会話していました。

 

テレビに映った演歌歌手を見ながら会話をしているところを聞いてみると...

 

 

あ、いや狂っては無いですよ~(汗)

 

と慌ててフォローしてみましたが、私の声は全く届いていませんでした。

 

お二人とも耳は良い方なのですが、よっぽど会話に熱中されていたのでしょうか?

 

周りにいらっしゃった方も大笑いされており、漫才ではないですがいつも周りを楽しませてくれるムードメーカーなお二人なのでした。

 

こういう笑いにあふれる施設って良いですよね。私も勉強させて頂きますね。

 

介護実話 第6話 ーー介護現場における誤嚥事故についてーー

 先月11月に国内の介護施設にて、90代男性の誤嚥事故がありました。内容としては、食事に提供したゼリーをのどに詰まらせ窒息死したという事故です。この件に関して裁判にて介護施設側への賠償請求が行われたという事でした。

 

president.jp

 

 まずは、お亡くなりになられた方へのご冥福をお祈り申し上げます。

 

 その時の詳しい状況等は詳しく見えていませんが、ここからは私が誤嚥に関して現場で感じている事や起きている事をお伝えしていきます。

 

 

1.食事の形態

 介護施設では、利用される方の状態によって、食事の形態を変えています。

 【常食】 

 しっかり噛むことができ、嚥下(=飲み込む事)も問題ない方は常食と呼ばれ普段皆さんが食べているような通常の食事と同じものです。例えば、豚肉の生姜焼きですとか魚のムニエル、弾力の強いイカもメニューとしてあります。

 

 【一口大】

 歯で噛み千切る事が困難な方や認知機能の低下により、食品を丸のみする可能性がある場合に選択することがあります。メニューは常食の中で、繊維の強い物や弾力の強い物、サイズが大きい物を2センチ程度のサイズに切って提供します。

 

 【きざみ食】

 顎の筋力低下、歯の欠損等でしっかりかむ事が困難な方へはきざみ食を選択する事があります。メニューは常食を細かく刻んだものが多いです。

 

 【やわらか食】

 きざみ食よりも食べやすく、舌で潰せるくらいのやわらかさです。こちらも顎の筋力低下や歯の欠損で物を噛むことができない場合に選択する事があります。やわらか食の方がきざみ食よりも食べやすい事が多いです。ですが概ね1食当りの金額が多い事がほとんどです。

 

 【トロミ食】

 特に嚥下機能の低下した方がむせ込みにくく飲み込みやすいよう、きざみ食の上にトロミが付いた餡を掛けたもので、混ぜて提供します。

 

 【ミキサー食】

 咀嚼と嚥下機能が更に低下した方へ提供します。ミキサー食は嚥下機能より咀嚼機能が低下した方へ選択する場合があります。食事事態はサラッとした水分多めのものが多いと思われます。多少の粒感はあります。

 

 【ムース食】

 咀嚼と嚥下機能が更に低下した方へ提供します。ムース食はミキサー食よりもねっとりした食感でむせこみが多い方や誤嚥の可能性が高い方へ選択する事が多いです。若干の粒感がある事があります。

 

 【ゼリー食】

 まさにゼリーです。粒感もほぼなく誤嚥の可能性が高い方へ選択する事が多いです。

 

 介護施設や医療施設ではもっと細かく分類されている場合がある事もありますが、私が経験した中では、上記のような分類がほとんどです。

 

 利用される方の中には、食事の形態が嫌で食事を摂られない方もいらっしゃいます。そういった方へは、声掛けを行ったり、介助を行ったりする必要が出てきます。

 

 そういった日々変わる状況を見守りながら対応するという事が食事時に必要となってきます。

 

2.食事の見守り

 介護施設では、食事の時に見守りを行うという業務があります。見守りというとただ見てるだけなの?と思うかもしれませんが実際にいくつかのポイントを押さえて見守りしています。

 <見守りで行うポイント>

 ・食事が進まない方への声掛け・・・純粋に食べたくないという方もいますが、いつ食べ始めたらいいのか分からない方もいらっしゃいます。

 ・食事中にトイレに行きたくなった方への対処(要介助者)

 ・箸やスプーンを落とした場合の対処(これ結構多いです。)

 ・お隣の方とおかずを交換しようとしている時の対処

 ・むせこんだ方への対処

 ・お茶や水分のおかわり

 ・異食への対処(髪の毛やおしぼり、テッシュなど)

 ・誤嚥されている方がいないかの確認、発見した場合の対処

 

 細かく言うともっとあるかと思いますが、ざっとまとめてもこのくらいはあります。これを利用者10人から20人分を職員1人で対応していきます。

 

 過去に常食の方がパンをのどに詰まらせたという事例がありました。この時は周りの利用者の方が職員へ知らせてくれたため、事無きを得ました。ですが、周りに知らせてくれるような人がいなかったら、もしかしてしまうかもしれません。

 

3.誤嚥に気づけるか

 果たして、私が今までいたような施設で誤嚥に気づき一命を取り留める事ができるのでしょうか?

 

 冒頭紹介した事故では、残念ながら窒息で亡くなられてしまわれたそうです。では窒息というのはどの位の時間で死に至るのか少し調べてみました。

 

www.gov-online.go.jp

 

 上記の引用は子供の場合ですが、5分後から意識消失、呼吸停止するとの事です。では、これを実際の現場に合わせて見てみた時に果たして5分以内に気づくことができるのかシミュレーションしてみたいと思います。

 

 まず、シミュレーションの状況は利用者20人を職員1人で食事の見守り、配膳、下膳、服薬、食事介助、その他介助を行ったとします。利用者の配置は東棟と西棟に分かれています。東棟は介護度が3から5の方、西棟は介護度が2以下の方とします。東棟と西棟は細い通路で繋がっています。

 職員は配膳が終わると同時に食事介助を東棟で行うものとします。今回誤嚥される方は西棟で常食、ADL自立の方とします。ではシミュレーションしていきましょう。

 

<<<<<シミュレーション開始>>>>>>>

 

 配膳してから5分後に西棟の利用者がパンをのどに詰まらせたとします。

 

 その時職員は東棟で食事介助と服薬介助、下膳をしています。

 

 数分後に西棟の周りの方が気が付いて大声で職員を呼びます。

 

 職員はその時、トイレ内で介助を行っています。

 

 トイレ介助が終わりようやく声に気づきます。

 

 西棟へ駆け付けて詰まらせたものを吐き出すよう対処します。

 

<<<<<シミュレーション終了>>>>>>>

 

 どうでしょうか。これ5分以内に気づける可能性ってどのくらいでしょうか?

 

 私の見解ですが、このケースの場合5分以内はほぼ不可能だと考えています。またこのシミュレーションは極端な例だと思うかもしれませんが、実はこういった状況は誤嚥を除いてはかなりの頻度で起きています。よく起きている状況の中に誤嚥事故を組み込むとこういう状況になります。

 

4.誤嚥事故について私が思う事

 今回の事故のニュースを受けて私が考える事を自分勝手に書いてきました。聞こえによっては「現場は大変だから仕方ない」とか「今の介護サービスでは難しいからあきらめた方が良い」というような印象を受けてしまっても仕方ないかもしれません。

 

 ですが、施設側や職員はほとんどの場合、当然ながら利用者の方を殺めてしまおうというような気持ちはありません。(残念ながら稀に殺意が湧いてしまった方が事件になってしまったりもしますが...)

 基本的には、利用者の方に合わせてどうしたら良いか考えたり、ご本人と相談しながら前向きに取り組んでいます。

 

 ただ、前段で挙げた通り、職員1人で利用者の方20人を対応する事は多いです。単純に人を投入すれば...と思われるでしょうが、残念ながら介護業界も多分に漏れず人員が不足しています。

 

 ここからは私の推測ですが、人は足りないが施設は運用せざるを得ず、どうしても万が一不測の事態が起きた時は、賠償するというスタンスにならざるを得ないのではないでしょうか?

 

 誤嚥事故を無くすという事は不可能だと思いますが、こういうテーマを現場で周知していくという事も大事なのではないでしょうか?人が足りないという課題はありますが、だから諦めるのではなく、ではどうするかという事が重要なのだと思います。

夜勤介護のマンガ日誌 第27夜~ツンデレ~

食事の時、職員の介助が必要な方がいる事があります。その中で、いつも食事の時に何故か機嫌が悪くなってしまう方がいらっしゃいます。

 

その日も食事を介助で行っていたのですが...

 

 

なぜか文句を言いつつもとてもおいしそうに完食されます。

 

しかも食事介助の時間も10分満たない事が多く、他に介助する方と比べると倍以上のスピードで召し上がります。

 

いつも何も思わず介助していましたが、ふと思い返した時にこれはツンデレというやつなのか!?と思い、マンガにしてみました。

 

現実でツンデレという属性の人と出会った事が無かったため、すぐに気づく事ができませんでした。

 

皆さんの周りでツンデレ属性の方っていたりますか?

 

これってどっちが本音なんでしょうか?「ツン」の時なのか「デレ」の時なのか。分かる方いたら教えてください。

 

夜勤介護のマンガ日誌 第26夜~絶望~

施設を利用される際、安心して過ごせるようご家族様からお手紙をお預かりすることが時々あります。利用者様が不安になられたりした時に、少しでも心が落ち着くように活用することがあります。

 

ある利用者様が不安で眠れない日が続いていました。

 

良かれと思いご家族様からのお手紙をお渡しすると...

 

絶望

 

一体なにが書いてあったのでしょうか。。。

 

しばらく床にへたりこみ泣き崩れていました。

 

結局1時間程不穏状態が続き、その日はフロアで夜を明かしていました。

 

心を落ち着けるはずが、絶望を与えるような事になってしまうとは。。。

 

後ほど、ご家族様から許可を得て中身を拝見しましたが、これと言って絶望するような事は書いてませんでした。

 

もしかすると、現在施設に入っているという事にショックを受けてしまったかもしれませんが、今となっては分からないままです。

夜勤介護のマンガ日誌 第25夜~ご都合変換~

長期でご利用されている方がいらっしゃるのですが、消灯時間を過ぎるといつも不安になってしまうようです。

 

 

そして今日も職員を訪ねてきて色々質問されますが...

 

 

この方の場合、認知症を患っており夜間になると不安も相まって症状が出てきてしまうように感じます。

 

でもまさか、こちらの情報が全て強制的に変換されるとは...(笑)驚きでした。

 

残念ながら、この方は長期でのご利用のため、現段階でお帰りになる予定はありません。

 

ですが、過去に事実をお伝えした事により不安を煽る事になってしまった為、あえて施設ではこのように対応しています。

 

日中はレクリエーションがある為、気が紛れるのですが夜間は中々そういった事ができないのが難しい所です。

 

今後も続くと思うので覚悟していきたいと思います。